エイベックス60年の歩み/AVEX記念誌

AVEX記念誌
既存のお客様に更にQCD(品質・価格・納期)の面で満足して頂くためには、既存工場で限界であり、生産能力確保・生産性向上・技術力向上改革を目指した工場を建設するかしないかはAVEXの今後を大きく左右する重要課題であることは共通認識していた。

そこで、検討にあがったのが海外拠点の工場建設である。
海外進出企業の現状を把握するためには社長自ら海外視察に足を運び、お客様の工場・同業種の企業で上手くいっている企業、上手くいっていない企業などを目で見て・肌で感じてくるなど様々なメリット、デメリットを考慮した検討が何度も行われた。

しかし、結果的には年国内残留を決定した。
現在の組織環境では、海外進出により技術力が分散し、海外工場・国内工場が共に弱体化すると考えたからだ。

「究極的に技術を追求・差別化していけば海外からも購入していただける。」

という体制を構築するべく、国内工場拠点として上がったのが三重県多度町。
本社との交流が十分にとれる距離にあることをはじめ、企業誘致に対する姿勢は強く・親切であったこと、また高速道路を始めとした交通の便は思いのほか近かったことが決め手となった。

あくまで仕事量の増加による工場増設といった意味合いで立ち上げるわけではないという考えから多度工場と本社工場の位置付けをしっかり決めた。

多度工場では世界拠点を位置付けとし、現在の主力製品であるスプールバルブを中心に世界に通用する高品質とコストの作り込みを実践。
一方で本社工場は精密加工・多種多材質加工・短納期などお客様のあらゆる要求に応えられるように技術力及び対応力を育成した。

また、この多度工場では高層積上型生産の本社工場では実現できなかった一環ラインでの効率的な生産が可能となり、従来は実現が困難であった他能工化の推進にも拍車がかかり、技術力アップによる改善意欲の向上となった。

「社長のこだわりは設計・建設泣かせ」

という言葉が残るくらい、従業員一人ひとりが働きやすい職場環境を構築するために工場デザインにもこだわりを持ち続け多度工場がついに完成。

年明けの生産開始に向けて、従業員総出で冬休みに大引越しをし、約40台の全ての設備の工程能力確保を経て、2004年1月6日多度工場は世界に向けて大きく動き出した。